ベルギー出身の若手作家 ジャド・コー が描く『地球か月か(Terre ou Lune)』第1巻は、思春期の揺らぎと家族の記憶を、柔らかな色彩と詩的な語りで紡ぎ出すグラフィックノベルです。主人公の少女・ルナは、地球と月のあいだに浮かぶような“居場所の曖昧さ”を抱えながら日々を過ごしています。母との距離、学校での孤独、自分の中に芽生える説明しがたい違和感。それらが静かに積み重なり、彼女は「自分はどこに属しているのか」という問いに向き合うことになります。
コーの絵は水彩のようにやわらかく、光と影がページの上で呼吸するように広がります。現実と幻想が自然に溶け合う表現は、子ども時代の不安や希望を鮮やかに映し出し、読者をルナの内面世界へとそっと誘います。物語が進むにつれ、家族の秘密やルナ自身のルーツが少しずつ明らかになり、静かながら深い余韻を残す構成も魅力です。
思春期の心の揺れを丁寧にすくい上げた本作は、芸術性と物語性を兼ね備えた一冊。フランス語圏で注目を集める新鋭作家のデビュー作としても見逃せません。
■Jade Khoo(ジャド・コー)
ベルギー出身のアーティスト ジャド・コー は、イラストレーションとアニメーションの両分野で注目を集める新鋭クリエイター。フランスの名門アニメーション校 ゴブラン(GOBELINS, L’École de l’Image) にてキャラクターアニメーションと映像制作を学び、在学中には短編アニメーション 『Colza』 を共同監督として制作。映像表現への深い理解と、繊細な感情描写を映像に落とし込む力が早くから評価されました。
卒業後はアニメーション制作の現場で レイアウトアーティスト や ストーリーボード を担当し、映像演出の基礎を確かな技術として身につけています。こうしたアニメーションの経験は、彼女のグラフィックノベル作品にも色濃く反映されており、ページの中に“動き”や“呼吸”を感じさせる独自の表現を生み出しています。
コミック作家としては、2022年に発表した 『zoc』 が初の長編作品となり、独自の色彩感覚と詩的な語り口で注目を集めます。その後の 『Terre ou Lune(地球か月か)』 シリーズでは、より成熟した表現で少女の内面世界や家族の記憶を描き、フランス語圏で広く支持を獲得しました。
Terre ou lune
Jade Khoo
Éditeur : MORGEN
Date de publication : 4 février 2026
Édition : Illustrated
Langue : Français
Nombre de pages de l'édition imprimée : 304 pages
ISBN-10 : 2387250087
ISBN-13 : 978-2387250087
Poids de l'article : 1,54 Kilograms
Dimensions : 23 x 2.6 x 29.8 cm