ジョルジュ・シムノンのロマン・デュール(重厚な小説)シリーズの中でも最も暗く、救いのない傑作として知られる同名小説を、鮮烈に視覚化したバンドデシネです。
物語の舞台は、第二次世界大戦中、敵軍に占領された寒冷な都市。売春宿を営む母親のもとで、退廃的で冷酷な青年へと育ったフランクが主人公です。彼は自らの存在を証明するかのように、無意味な殺人と裏切りを重ね、周囲の人々を破滅へと追いやります。しかし、隣家に住む純真な少女への残酷な仕打ちをきっかけに、彼の運命は皮肉にも破滅的な終焉へと加速していきます。降り積もる雪が血と泥で汚れていくように、人間の魂が堕落していく過程が冷徹に描かれます。
作画のイスレールは、代表作「サンブル家の人々」で見せた耽美的な筆致をさらに深化させ、モノクロームに近い色彩の中に鮮烈な「赤」を配することで、凍てつく街の閉塞感と暴力の温度を表現しています。人間の底知れぬ悪意と、その裏側にある虚無感を見事に視覚化した本作は、シムノンの文学的極致をバンドデシネという形で再定義した、極めて衝撃的な一冊です。
Collection Simenon, les romans durs - La Neige était sale
Fromental Jean-Luc, Yslaire Bernard
Éditeur : DARGAUD
Date de publication : 26 janvier 2024
Édition : Illustrated
Langue : Français
Nombre de pages de l'édition imprimée : 104 pages
ISBN-10 : 250511580X
ISBN-13 : 978-2505115809
Poids de l'article : 730 g
Dimensions : 22.6 x 2 x 28.8 cm