本書は、自己のアイデンティティと身体性の揺らぎを、独創的なビジュアルで探求した極めて内省的なバンドデシネです。
物語の核心にあるのは、自分の頭が自分の肩にしっかりと乗っているという当たり前の感覚が、ふとした瞬間に脆く崩れ去るような、現代人が抱える実存的な不安です。他者の視線や社会的な役割によって、本来の自分が解体されていくような違和感と、それをいかに受け入れていくかというプロセスが詩的に描かれています。
ミュラーのアートワークは、非常に繊細で、どこか脆さを感じさせる線が特徴的です。余白を活かしたミニマルな構図や、現実と夢想が溶け合うような幻想的な演出は、言葉にできない微細な感情の動きを読者の感性に直接訴えかけます。色彩もまた、感情の温度変化を表現するように絶妙なトーンで使い分けられ、読者を作者の深い内面世界へと引き込みます。
La tête sur mes épaules
Bénédicte Muller
Éditeur : Atrabile Editions
Date de publication : 12 septembre 2025
Édition : Illustrated
Langue : Français
Nombre de pages de l'édition imprimée : 216 pages
ISBN-10 : 2889231569
ISBN-13 : 978-2889231560
Poids de l'article : 774 g
Dimensions : 17.6 x 2.6 x 24.5 cm